式辞
遠くに見える山々には、まだ多くの雪が残っていますが、近くの木々には少しずつ春の訪れを感じるようになってきたように思います。
本日、PTA会長吉田幸泰様をはじめ、PTA役員の皆様のご臨席を賜り、また、ご臨席いただけませんでしたが、本校をご支援くださいます多くの方々の祝意と、保護者の皆様のご参列のもと、令和四年度鳥取県立鳥取中央育英高等学校卒業証書授与式を挙行できますことを、本校教職員一同、心よりお礼申し上げます。
ただ今、一〇九名に卒業証書を授与しました。卒業おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
皆さんは三年前に、少しの不安と、多くの希望を胸に入学し、恵まれた自然や施設のあるこの育陵の丘で心身を鍛え、多くの友情を育み、学習活動や部活動などに励み、三年間を過ごしてきました。
新型コロナの流行で、予定していた活動が中止されたり、制限されたりしましたが、皆さんはその状況に向き合い、そして乗り越え今日を迎えています。辛く歯がゆい思いはあったと思いますが、それぞれの思い出として心の中に残してほしいと思います。育英祭でのパフォーマンス、大運動会での真剣な姿、大きな歓声や笑顔、本当にみなさんは輝いて見えました。
保護者の皆様、お子様のご卒業おめでとうございます。また、本当に三年間お世話になりました。臨時休業や、学校行事の参加制限の対応等で、お子様の学校生活の様子を見ていただくことができず、本当に申し訳ありませんでした。例年以上に、保護者の皆様のご理解・ご協力があってのことだと思っており、心から感謝申し上げます。
さて、本日、新たな旅立ちをするみなさんへ四つのメッセージを送ります。
一つ目は、まず、健康面には十分に気をつけてくださいということです。コロナ感染症拡大によって「健康であることの大切さ」を感じたと思います。コロナ終息となっても決して忘れてはならない気がします。
四月から、一人暮らしの生活が始まり、新しい人間関係等、環境が変化する人も多くいると思います。それにより、体調管理が難しいこともあるでしょう。決して焦らず、無理をせず、生活する環境を見極め、少しずつその環境と向き合って、生活のリズムを作っていってください。
二つ目は、今年の全校集会でお話してきたことですが、自分を、そして、みなさんと関わってくれている人達をいつまでも大切にしてほしいということです。生まれてきて、誰もが「幸せ」を求めて生活しています。これは誰にも邪魔されてはならないことが保証されている権利だと思います。周りの人を尊重し、自分一人ではできないことも、周りの人と一緒になればできると信じ、自分の道を進んでいってください。
三つ目は、これからも成長し続けてほしいということです。皆さんは、進路先で今までにない自分へと変わっていくはずです。本校の校訓「克己」の精神は、生涯にわたって意識してほしい言葉だと思います。今日の自分を乗り越えた、明日の自分を日々大切にし、自分自身の成長を意識し続け、いつまでも成長する人となってほしいと思います。
最後に、日々安心して生活できる平和な社会を作ることに貢献する人となってほしいと思います。毎日見る国内外の報道で、多くの命が失われています。人命がとても軽く扱われ、簡単に人の命が失われているように思います。
「安全安心な世界で生きたい。争いのない平和な社会で生きたい。」この思いは、誰にとっても、いつの時代も決して変わることがないものだと思います。もしこれから先、皆さんの周囲でそれを実現できないような行動があれば決して許さないでください。平和な社会、安心して暮らせる社会づくりをみなさんにぜひお願いしたいと思います。
「明日はきっといい日になる。」、本校の書道パフォーマンスで流れていた高橋優さんの曲の一部ですが、まさに社会全体の、そして個人のいい日が必ずあります。今日辛いことがあっても、きっと明日はいい日になる。夢や希望を持ち続けることができる平和な社会、その社会を作る一員となって活躍してほしいと思います。
最後に次の言葉を贈って式辞を結びます。
みんなならできる。頑張ってください。
令和五年三月一日
鳥取県立鳥取中央育英高等学校
校長 檜 佳憲